地方議員のつぶやきその⑮ 「民主主義の前提」

地方議員のつぶやきその⑮ 「民主主義の前提」
5世紀に西ローマ帝国が滅んで以来、ヨーロッパは無数の小さな都市国家により分割統治されるのが普通で、イタリア半島すら19世紀まで統一されることはありませんでした。
対して中国の場合、分割されることがあっても、ある程度の広さになりますし、しかもその状態は長く続かず、必ず「統一バネ」が働くように見えます。
両者の違いがなぜ生じたかは残念ながらわかりません。
しかしこの両者の歴史的体験の違いは、明確な政治哲学の違いを生むように思います。
A「複数の異なる国が並列して共存するのが普通だ。正しい体制のあり方も複数あるはずだ。」
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B「対等の国同士の並列共存は普通の状態ではない。いずれ必ず1つの国、1つの正義により支配統一されるはずだ。」
A「並列共存が前提である。他者の権利を尊重し、そのような社会をつくることで、結果として自身の権利を最大限に守ることができる。」
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B「自身が唯一の正義となって他者を支配するか、他者から支配されるかのどちらかである。従って他者の権利の尊重は、自身がすべてを奪われる可能性を高めるだけで、何のメリットもない。」
A「共存状態は恒久的であり、他者からの信頼は重要な要素である。ルールを尊重せずに信頼を失うデメリットは、ルール破りにより得られるメリットを遥かに上回る。」
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B「支配者が変わればすべてがチャラになりルールも変わる。従って普遍的な価値など無く、尊重する必要はない。」
例えば中国は現在でも完全に「B派」として行動しているように見えます。
また、「A派」のような前提がなければ、「民主主義」も「地方分権」も「法治主義」も成り立たないように思います。
それらが歴史的体験から来るとしたら、50年や100年でどうにかなるものでは無いのかもしれません。
わが国の伝統は、紛れも無くA派に属すると信じますが、ルールを守らない方が得をするような風潮は持ち込むことができるのかもしれないと、昨今のいわゆるブラック企業報道などを見て感じました。
そのような風潮を許してはならないと思います。

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