神奈川県逗子市立図書館の視察へ

私の所属する総務教育常任委員会の視察で、神奈川県逗子市の図書館に伺いました。
逗子市としては、民間企業に市立図書館の管理運営を任せる指定管理者制度の導入を目指してきたとの事。
しかし平成26年2月、平成28年3月と2回に渡って、市議会において関係条例が否決され、現在においても市直営のままとなっている経緯があります。
経緯も興味深いですが、詳細を聞いても興味深い点が多くありました。

①協働のまちづくりの観点から、株式会社パブリックサービスという、市が51%の株式を所有し、社員の多くが逗子市民で構成されている会社への指定管理を目指していた。従って指定管理者制度ながらも、公募をせず1社のみでの審査予定だった。
※正直、協働のまちづくりも大切ですが、機会の公平性確保、競争原理によるサービスの向上等も重要ではとも感じます。
 
指定管理者制度導入の主目的は、サービス向上やコストの低下ではなく、司書等の専門的な人材の長期的な確保にある。
専門的人材について、現状では市が非常勤職員という形で採用している例が多いが、最長で10年以上の雇用が難しく、外部の民間企業採用とすることで10年の壁をクリアできる可能性があった。
※10年以上に人材を確保したいなら、職員採用に関する制度を改正すればよいのではないか。その点聞いて見ると、改正は不可能ということでしたが理由がよくわからない。
※逗子市議会からも、人材の長期確保のために指定管理者制度導入というのはよく分からないという意見はあったそうです。
 
③人件費の見積もりをお願いした所、(直営)9790万円⇒(指定管理者)11700万円という結果が出たとの事で、人件費コストの削減が見込めなかった。
※従来は2名のみ正職員、任期付職員5名、再任用職員2名、非常勤職員41名 での運営。民間企業を凌駕するコスト削減努力は立派ながら、専門的人材確保を重視したいという上記の狙いとは矛盾がある気もします。
 
逗子市議会で否決された際も1票差など僅差での否決となっており、かなり喧々諤々の議論となったと思われます。
株式会社パブリックサービスという、公共サービスを提供する会社がかなり前から存在した事実が、逗子市の特徴的な所であり、大きな影響を与えているとも感じました。
何が正解なのか、過去の蓄積なども考慮すれば最適解はけして一つではなく、自治体によってさまざまなものがあるのだろうと実感致します。
 
 

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