地方議会議員の厚生年金加入について

議員年金の復活!とセンセーショナルに語られることもありますが、地方議会議員を自治体職員と見なして、厚生年金への加入を認める内容の法改正が検討されているようです。

地方議員の年金、国などに慎重審議求める /埼玉(会員限定有料記事 毎日新聞

報道などでは少し前の話題ですが、各自治体議会においても、法改正を推進する為、全国各自治体議会で政府への意見書採択がなされています。
茨城県内を例にとりますと、32ある「市」の議会のうち、水戸市、土浦市、古河市など22の市議会において意見書が採択されているそうです。
 
ちなみに、守谷市議会では、意見書を採択も不採択もしていません。つまり議案として議論すらしていないわけですが、私としてはそれでよいと思っています。
要請はありまして、平成30年7月に全国市町村議長会から意見書を採択してほしい旨の文書が守谷市議会にも来ているようです。
が、要はスルーしている状態です。
制度改正案は、地方議員のなり手不足解消のためという趣旨のようですが、何と言いますか全般的に筋の悪い話だと感じています。
 
まず第一に、なり手不足解消対策としての効果が疑問です。
自営業の方はともかく、会社員等だった方は、選挙に出る際は会社を辞めるのが普通です。
つまり、厚生年金等は切れて国民健康保険や国民年金だけとなります。
ここをなんとか改善しようという話なのでしょうが、私個人の記憶や周りの体験等を見聞した範囲で申し上げますが、
①選挙に出ると決めた→②議員になると国民年金だけになる事に気づく→③それは厳しいからやっぱり選挙にでるのは辞めた
勝手に断言しますが、こんな人はまずいません。
会社員としてのキャリアは切らなくてはならないし、選挙に出れば少なくとも供託金等含めて100万円くらいはかかります。
諸々立候補にはリスクがあるのですが、多くのリスクの中で厚生年金が国民年金になるなんてことは、至極ささいなことに過ぎないと私は感じます。
それでも立候補する人は立候補するのです。
議員在職中に厚生年金加入が可能となると、立候補へのためらいが解消されて立候補者が殺到し、なり手不足が解消するなんてとても信じられません。
 
第二に、議員のなり手不足の問題があるなら、それは各自治体の問題であるということです。
定員割れで選挙にすらならない自治体があるのは事実です。それは解決しなくてはならないと思います。
しかし、熾烈な選挙戦が毎回繰り広げられる、なり手不足とは程遠い自治体も多くあるのが現状です。
問題があったとしても、要は各自治体の個別の問題であり、対処も議員報酬を上げるなり、政務活動費を上げるなり、各自治体で個別に検討すればよい話です。
「全国一律」に「地方議会」のなり手不足問題を設定し、「全国一律」の対応策を法律レベルで行うなどナンセンスだと思いますし、何で国の発想はいつもそう「中央集権的」なんだと感じます。
加えて、地方議会議員の厚生年金への加入に関して、民間でいう所の「会社負担分」要するに保険料の半分の負担が発生するはずですが、これを負担するのは各自治体の財政によるはずです。
国主導で改善策を行い、それにも関わらず財源を負担するのは各自治体というのも、実に虫の良い話だと思います。
 
ここからは勝手な憶測ですが、議員報酬を上げるなり、個別の解決策を検討すると、各議会において個別に批判されるリスクを背負わなくてはなりません。
ここを嫌って、法改正によるものなら仕方ないじゃないですかと、ある意味国を盾にして批判されるリスクを避けようという思惑から、複数の地方議会が意見書採択等で中央集権的な政策に協力している構図があるのだとしたら、実になさけなくも感じます。
 
 
 
 

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