官民連携たる意味について

大阪市の天王寺公園エントランスエリア「てんしば」を視察させて頂きました。
官民連携による都市公園活性化の成功事例として注目されています。
入園者数の推移を見ると、平成27年10月のリニューアルオープン以前は150万人ほどだった入園者数が、平成29年度には約420万人となるなど、大きな成果が出ているようです。
芝生公園を中心におしゃれなデザインのカフェやレストランが並んでおり、また視察当日はお祭りをやっていたこともあり、非常に賑やかでした。
協定事業者である近鉄不動産株式会社による、民間らしいアイデアが生かされた施設になっていると感じました。
 
また特徴的と感じたのが、この事業はよくある行政から民間企業への管理業務委託等ではない点です。
つまり、大阪市が近鉄不動産にお金を払って施設整備や管理を行ってもらっているのではなく、逆に近鉄不動産が大阪市に使用料等を払い、近鉄不動産の事業として施設を運営し集客しているとの事でした。
その結果、以前は年間数千万円以上がかかっていた施設維持に関する費用が、市の持ち出し分としては数百万円程度に圧縮できたそうです。
場所が本来持っていたであろうポテンシャルを開放でき、市の財政削減と集客増による活性化を同時に達成できたのは、本当に大きな成果と感じます。

以上は「民」による活性化の部分ですが、民間活力導入だけを目的とするなら、極論を言えば民間に土地を売ってしまえばそれでよいとも思います。
すなわち「官」が入っていることに意味が見いだせなければ、官民連携たる意味がありません。
そのあたりを伺ってみたところ、「官」が担える強みや役割は長期的なビジョンが持てる点ではないかとの事でした。
確かに、民間事業は投資を改修できなければ維持できませんので、早期回収を目当てに、どうしても視点が短期的になる可能性はあると思います。
また、守るべき価値は賑わいだけとは限りません。例えば市街地においても最低限の緑は守りたいという価値があったとしたら、それは市場にゆだねるだけでは守れない可能性もあります。
行政など「官」として、その地域において大切にすべきものはどんな価値、景色なのか。
数多くの意見が乱立する中で、しっかりと私たちが守るものはこれだと、決断をできなければ始まらないと改めて感じました。
 

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