どちらの責任が重いか

商品券混乱、全市議の報酬減額…市長にも批判(2015年09月26日 11時39分 読売新聞)

熊本県八代市が7月に販売したプレミアム付き商品券「スーパー元気券」を巡り、委任状を使った大量購入が相次いで混乱が生じた問題で、市議会は25日の本会議で、「審議の過程で施策の不備を指摘できなかった」として、全議員(32人)の報酬を10分の1(1か月)減額する議員発議の条例案を全会一致で可決した。(以下省略)

これはちょっと違和感があります。
熊本県の八代市でプレミアム商品券の購入に際して、委任状での代理購入に冊数の上限を設けなかったため、一人で620冊買う人も現れたなど、大混乱を引き起こした問題に関してです。
「審議の過程で施策の不備を指摘できなかった」として、全議員(32人)の報酬を10分の1(1か月)減額するとの事ですが、一方で「執行部の責任は議会より重く、同じ減額率では市民の理解を得られない」として、市長と副市長を同じく減給10分の1(1か月)とする条例案は否決されたとの事です。
執行部に責任はもちろんありますが、その責任は果たして議会よりも重いと言えるのか。
確かに細かい実施計画を作るのは市長をはじめとする執行部ですが、最終的に議案や予算案を可決するのは議会ですので、最終決定権者は議会であり、つまりは最も責任が重いと言えるのではないでしょうか。
議会側から「執行部の責任は議会より重い」と言ってしまうのは、自らの最終決定権を放棄するといいますか、議会を執行部のオマケのような機関に自ら矮小化してしまう、ある種の自殺行為だと感じられます。
八代市の状況はわかりません。しかし、責任を取る局面において「執行部の責任は議会より重い」はけしてに言ってはいけないセリフのように感じます。
仮に議会というものが、事前に問題をチェックしきれなかった責任は華麗にスルーし、そのくせ文句を言う権利だけは保持し、最後には「執行部は何をしているんだ!」と言うだけの「偉い人集団」だと見なされたとしたら、間違いなく市民の信頼は得られないと思いますし、自治体が主役になる地域主権などあり得ないと思います。

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