今回の定例会で、軽減税率適用範囲拡大への意見書も上程されておりますが、軽減税率という手法そのものに疑問を感じております。
①痛税感を気にするのならば、そもそも増税をやめればよいのではないかという点。社会保障財源等を安定は死活的に重要です。しかし、目的は増収であって、増税そのものではないはず。デフレ不況のときには増税をしてはならず、逆に景気が過熱してインフレになった場合には増税をしなければならない、あまりに明白な話であります。
増税した結果、景気がさらに後退し、結果としてトータルな税収が減少したとなったとしたらいったい誰が責任をとるのか。
②低所得者への支援策として極めて非効率。高所得者も低所得者も品目よって等しく軽減の恩恵が受けられるので、むしろ出費額の多い高所得者の方がメリットを享受する可能性すらあります。
低所得者に配慮をしたいのであれば所得税などの「直接税」で行うべきであり、消費税増税と同時に低所得者への配慮として検討されるべきは、「直接税」の改革なのではないか。
③如何にたくさん集めて分配するか、その中央集権的な発想への疑問。誰が何を持って、軽減税率を適用するに値する必需品と判断するのか。
判断するのは、最終的には政府に近い政治家や官僚であり、そこに接触できる業界団体等が有利に働く可能性があります。既に新聞が「情報を得るための新聞は必需品であり、軽減税率の対象とすべきと主張し始めています。
これは族議員的な政治スタイル、利益誘導型政治を助長させる可能性があります。
④複雑化する税制度による、行政だけでなく民間企業も含めて永続的に発生する計算等の手間、集めて分配するためのコストについての考慮が無い点への疑問。
今回、軽減される税金の額が仮に1兆円とすると、貧困世帯1世帯あたり約10万円です。消費税の負担を軽くするより、貧困世帯に一律に10万円配るほうが、配る過程の複雑化やコスト増が無い分も含めて、よほど合理的な可能性があります。
総じて筋が悪いといいますか、トータルに抵抗に感じるのですが、その理由としては、その中央集権的な発想、「大きな政府路線」推進政策に感じる点が大きいのではないかと感じます。
地方議会の立場からのこのような意見書提示は、ある種の自己否定といいますか、自殺行為になる可能性すら感じます。
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