強い「主観視点」の弊害

なぜ中国はこんなにも世界で嫌われるのか (幻冬舎新書) 新書 – 2013/3/29

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改めて読んでみましたが、いわゆる「中華思想」に関する論考が秀逸。
中華思想とは、御大層な名前付けたって要するにただの「レイシズム(人種差別主義)」でしょ、ぐらいにしか思ってなかったのですが、人の視点の持ち方からの解説が非常に印象に残りました。
著者曰く、中華思想とは多くの中国人が持つ「主観視点」のとても強い世界の見方であるとのこと。
重大なのはそれ以外の視点、例えば上から全体を見る「俯瞰視点」や、他人の視点を想像する「他者視点」がほとんど存在しないことで、これは身近な人間への情の厚さ、芸術的な感性の強さ、迷いのなさや自身の大きさなどを生む一方で、
・客観的な事実や普遍的なルールの軽視。
・数値やデータの意味を理解しようとしない(自分にとって損か得かとしか見れない)。
・自分が嫌われていることに気づかない(他者には好かれるべきという概念がない)。
なども生むとの事で、普段の中国政府の論法なんかを見てると、すごくわかる気がします。
 
要するに客観的、歴史的な事実や国際法などの普遍的なルールなどはけして重要なものではなく、自分の持つ主観的なストーリーが何よりも大事だということなのでしょう。
客観的な事実は確実に存在するし、それは登場人物の都合や力関係によって何ら変化するものではないというのは、万人にとって常識であると全く疑いませんでしたが、違う常識もあると理解すべきなのか、まさに「文明の衝突」だなあと感じます。
ちなみに著者曰く、日本人は異様に「他者視点」を多用する集団で、これは悪く言えば「他人に褒めてもらわないと、自分が正しいかどうかもわからない主体性のない人」と指摘いたのも印象的でした。とても冷静な良い指摘だと思います。

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