「被爆者と話している姿を見て、涙が出そうになった」
昨日のオバマ大統領の広島訪問を受けて、そんな声も上がっているようです。
特に、被爆者の方と話されたり、抱き合う姿はまさに歴史的な瞬間で、核廃絶への希望を増す光景であったように感じています。
原爆投下とは、通常の軍事行動とは違って、明らかに民間人の無差別殺傷を狙った行為です。
これは当時の国際法に照らしても違法、つまりは戦争犯罪であったと言えます。
そのような意味で一線を画す罪深い行為ですが、同時に当時戦争を行っていた国のうち、民間人への無差別爆撃ができる「能力を持っていた国」は、皆実施したのもまた事実です。
わが国としても、例えば中華民国、重慶への爆撃を行いました。
アメリカに対しても、仮にハワイや西海岸の都市への戦略爆撃を行う能力を持っていれば、ためらうことなく行ったでしょう。
敵を打倒するためなら、戦争犯罪を含め何でもする。戦争とは平時の感覚では理解できない、そんな次元のかけ離れた残虐な行為なのだと思います。
とはいっても、「他国もやっている」は戦争犯罪の免責理由にはなりません。
従って、あくまでもアメリカに対して公式な謝罪を要求するぞということも可能だと思います。
また、実際に苦しみを体験した方からすれば、あまりに悲惨であり到底許すことができない、復讐心を持ち続けるぞとなるのも無理のないことかもしれません。
私の発想は、自分で体験したことがない若造の戯言なのかもしれません。
しかし、そういった戦争犯罪も含めた悲惨な過去をある意味で後悔し、反省し、その上で過去に固執するよりも未来を作ることに重点を置く。
そして、少しずつでも人類の英知を結集させた新たな仕組みを作り、これらの悲惨さを繰り返さないように努める。
先人たちも選んだ、そのような選択肢もあります。
オバマ大統領の「私たちは、歴史を直視するために共同責任を負います。」という言葉にも、そのような考えが表れていると感じます。
過去にあった歴史的事実は変えられません。
しかし、これからどうするかは私たちが自由に決められます。
改めて、昨日の被爆者の方と抱き合う姿は、これから私たちが決めるよりよい未来への一歩となる、意義深い出来事だったと思います。
多分ですが、オバマ大統領は帰国してから、アメリカ国内でたくさんの人に批判されるのでしょう。
そんな政治リスクを乗り越えて、広島訪問を決断してくれた、オバマ大統領の勇気に感謝致します。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。