実際には敵は内部にあり

中国の5%の人間は、国全体の25%の富を寡占する超特権階級。逆に底辺5%の人間は、国全体の0.5%の富しか持てない。ここに「革命」の下地がある。
・ゆえに、2014年の中国の公称軍事予算7406億元に対して、公安予算は7691億円と上回る。つまり、中国において治安維持は国防よりもたいへんである。

世界の安全保障事情に関して、幅広く語られている本ですが、よくある「軍事オタク」的なウンチクに留まりません。
政治や地政学、心理学等も考慮した幅広い視点から語られている本で、文章にある言葉の響きの良さもあいまって、楽しく読めました。
 
ちなみにわが国の場合、5兆円ほどの国防予算に対して、警察予算は3,200億円程度ですので、比較するとその大きさが引き立ちます。わが国において、自衛隊よりもお金がかかる警察なんて想像もできません。
中国政府はひたすら「外部の敵」の存在をしてしますが、実際には敵は内部にあるのではとも思えますが、要するに、これは社会主義=統制経済モデルの破綻なのではと。
ひたする中央政府の力で押さえつけないと治安もままならない国とは・・・。でも、世界的に見ればよくある話なのかもしれません。
 
本の内容とは離れますが、単語の選択や間の取り方など、文章には書き手特有のリズムや響きがあるもので、波長の合う文章と出会えると、とても気持ちの良いものです。
多くの書き手のリズムを経験し共有することで、私の思考回路や人格の一部もできているのではないかと思います。
 
 

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