明治維新とは中国化である!?

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 単行本 – 2011/11/19與那覇 潤(著)


個人的な久々の大ヒット、すごく面白かったです。
著者の「明治維新とは中国化」であるという指摘が秀逸。
ここで言う中国化とは、政治外交的に中国と協調を目指すとか、日本が中国に隷属するなどといった意味ではなく、社会の仕組みが中国的になるという意味です。
具体的には、
●長く天皇と将軍とで分離されてきた権力と権威の一体化。
●世襲貴族(武士)の廃止、公務員試験(科挙)の導入による身分制度の撤廃、機会平等・自由競争社会へ。
●地方政府(藩)の廃止、郡県制の導入による中央集権化。
などですが、これらは明治維新で目指されたことであると同時に、中国ではとっくの昔に実現されていたこと、具体的には「宋」の時代から既に存在していたとの指摘は衝撃的でしたが、言われてみれば確かにそうではないかと感じます。
 
世界で一番初めに身分制撤廃に成功し、職業選択の自由、移動の自由などを達成した点を中国文明の光の部分と見る視点は、なかなか聞いたことがありませんが、非常に客観的で合理的に感じます。
ただし、権力と権威が一体化した中央集権国家ですので、もちろんの事政治的な自由、思想信条の自由などはほぼありませんし、弱者救済も重視しません。すべては自己責任で切り捨てられます。これらは闇の部分であると共に、21世紀の現在でも全く変わっていない点に驚きます。
 

 
経済的な面に限定すれば、例えば「新自由主義」とか「グローバルスタンダード」などは非常に「中国的」な主張で、ようやく世界が「宋」に追いついたと見ることもできます。
歴史とは一直線に進歩するものではない、そもそも進歩とは何なんだなど、色々考えさせられます。

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