那珂市の市民投票条例案 「常設型」1票差で否決
(2015年12月12日(土)茨城新聞)
那珂市議会は11日、定例会最終日の本会議で、常設型の市民投票条例案について賛成10反対11の賛成少数で否決した。条例案を審議した総務生活常任委員会の採決結果通りとなったが、わずか1票差だった。海野徹市長は来年2月の市議会改選後にあらためて提案する意向を示している。(以下省略)
那珂市の常設型の市民投票条例案に関する話題ですが、私の周りでも結構注目されておりまます。那珂市議会では1票差で否決され、次回の定例会に再度の提出が検討されているそうです。
条例案の提案前に行われた、那珂市の住民投票条例検討委員会の議事録や資料もざっと拝見させて頂きましたが、投票資格の範囲(外国人を含めるかなど)、投票結果の反映・拘束性、投票率が一定以上に達しないと成立しないなどの要件を決めるかなど、かなり細かい点について詳細な議論が長時間にわたって行われておりました。
常設型ではなく、個別案件ごとに住民投票条例を制定するとなると、繰り返しそのような議論を行わなくてはなりませんので、かなり大変な作業となることが予測されます。
住民投票に値する案件はそう頻繁にあるものではありませんので、別にそれでも構わない気もしますが、常設型にすることで、その手間を省けるとなると利点は確かにあるように感じます。
とはいえ、那珂市議会から提案された「議会の議決なしで市民投票が行われるのでは、二元代表制のバランスが崩れる。議論が不十分」という指摘に対する回答も必要です。
有権者の5分の1以上の署名を集め、市民からの請求があった場合に関してはあまり問題がないでしょう。有権者の5分の1以上もの署名が集まったにも関わらず、住民投票の実施すら議会が否決するというのは、非常に考えにくい。反対するロジックを見つけられません。
それよりも、個人的に問題に感じるのは、市長の請求の場合には、議会の議決なしに自動的に住民投票が実施されるという点です。
多大なコストもかかる作業ですので、住民投票の乱用防止は留意されるべきですし、今後どのような人が市長になるかは予測できませんので、万が一の市長の独断を警戒するのはチェック機関たる議会側として当然の心理に感じます。
那珂市の住民投票条例検討委員会においても、何故「常設型」が必要なのかという点に関して、議会側にしっかり説明できることが必要という議論も一部あったようですが、あまり深められたようには見えませんでした。
議会側としても、市長発議の場合に関しては、議会の議決を必要とするなど修正案提示も可能と思われますが、諸々含めて今後の展開が注目されます。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。